昔、あるところに、貧しい家がありました。そこには小さな女の子がお母さんと二人で暮らしていましたが、食べるものにとても困っていました。少女は森へ食べ物を探しに行きました。そこで少女は老婆に会い、老婆は少女に小さな鍋を あげました。その鍋は“お鍋よ、にえろ”と呪文を唱えるとおいしいお粥を自然に作ってくれる魔法の鍋です。そして“お鍋よ、止まれ”と唱えるまでおかゆが出続けるのでした。
少女は鍋を母親の為に家に持って帰りました。少女と母親は貧困と飢えから解放され、おいしいお粥を たくさん食べました。
ある日、少女が外出を し、母親が“お鍋よ、煮えろ”と唱えました。そして、お腹一杯になるまで食べました。ですが母親は鍋の止め方を知りません。すると家の中はお粥でいっぱいになりました。それでもお粥は止まることなく隣の家まで呑み込み、最終的に町中を呑み込みました。まるで世界中の飢えを満足させたかったかのようにお粥は全てを呑み込みました。
ようやく少女が街に帰ってきて、“お鍋よ、止まれ”と唱えて鍋はようやくお粥を出すの を やめました。その後、街の住民たちは少しずつお粥を食べて家に帰ったようです。
ドイツの童話。(1812年グリム童話グリム兄弟から)
日本語翻訳:Ki Kim